ヒポクラテス
《ヒポクラテス》
古代ギリシャの医学者。
それまでの呪術的な手法から病気を科学的にとらえて 宗教・哲学の観念的な教義から開放し、西洋医学の礎を築いて「医学の父」とよばれています。
そうではあっても 神への敬虔さは大切にしていました。
彼は「人間には一定の法則がある、そして全ての病気は自然的原因による」と考えました。
(栄養・季節・気候・風土・温度…など)そこに神の意思を見出し、医学や薬学の法則を考え出しました。
つまり 人間に元々そなわった治癒力をサポートすることが医師の任務と考えたのです。
血液・黄胆汁・黒胆汁・粘液のバランスが崩れると病気になる…という体液病理説をとなえ、1500年もの間 医学・薬学を支配しました。
治療法のひとつに 今でいうダイエットがあります。
温・冷・乾・湿 に食物を分類し ダイエットしながらバランスのとれた食生活で体液調和をはかる…という いわゆる医食同源をすすめました。
その飲食物の摂り方と睡眠、休息、運動を規則正しく行う…という治療法は 今の「健康学」そのものではありませんか!
また、マッサージの重要性を説いて 医療の手法や健康作りに用いたと言われています。
ヒポクラテスは「医師のあるべき姿」を示したとされ、「医聖」とよばれます。
没後 弟子たちによって編集された「ヒポクラテス全集」には「ヒポクラテスの誓い」という医神への誓の文があります。
患者を診断し 薬を与えることの責任の重大さ、利に走るべからざる職業の尊厳を教えるものです。
この宣誓文は 今でもドイツやフランスの大学の医学部の卒業式の誓いとして使われているのだそうです。
ひとりの人間が こんなにも長きにわたり 人類に大きな影響を与えることに尊敬の念を抱かざるをえません。